2017年8月2日水曜日

【教員インタビュー】文学研究科 川口幸大准教授

 「文化人類学」と聞いてどのような学問なのかイメージがつかない人も多いだろう。そこで文化人類学の方法論から中国の社会と文化について研究している文学研究科の川口幸大准教授に話を伺った。




 ―どのような研究をしていますか

 東アジア、特に中国の家族・親族、宗教、移動について研究しています。中国の場合、これらにはいずれも政治が深く関わっており、中国の社会と人間関係を考える際に大事な視点だと思っています。

 ―中国に興味を持ったきっかけは何ですか

 私が大学生だった80年代後半から90年代前半にかけて中国は急激な発展を遂げていました。大学2年生の時に実際に中国に行って、いろいろな意味で大きな衝撃を受けました。中国についてもっと深く理解したいと思い、研究することにしました。

 ―なぜ文化人類学を選択しようと思ったのですか

 私は東北大学文学部で大学時代を過ごしました。2年次に専修を決めるのですが、選ぶのにすごく苦労しました。その時に文化人類学なら割とどのような研究もできるという話を聞き、専修を文化人類学に決めました。学部生の時は文化人類学自体に興味があるというわけではなく、興味のあった中国について理解する手段という認識でした。しかし、研究していくにつれて、細かな事柄をより深く研究する文化人類学のスタンスに共感し始め、卒論を書いているうちに面白いと思うようになりました。

 ―研究者の道に進んだ経緯を教えてください

 とりあえず研究を続けたくて大学院に進学しました。当時は現在に比べると将来に対して幾分楽観的でしたから、大学院に行くのも悪くないと考えていました。しかし、博士論文を書くのも、職を探すのも、当たり前ですが大変でした。

 ―文化人類学についてどのような考えを持っていますか

 文化人類学とは文化を通じて人間を理解する学問だと思います。ここでいう文化とは人間の行動ほぼ全てを指しています。

 また、文化人類学を研究するには自分が研究するフィールドに実際に足を運ぶ必要があり、自分と違う社会に入らなければなりません。そこには当然、自分とは異なる人々が暮らしています。そして、その人々をもっとよく知りたい、理解したいと思います。それが文化人類学を研究する上で必要なことだと思います。

 ―本学を目指す受験生に一言お願いします

 誰もが心の中に「なぜこうなっているのか」、「どうしてこれをしなければならないのか」といった疑問や違和感を持っていると思います。そのようなしっくりこない感覚を大事にしてほしいです。それが自身の学びに確実に役に立つでしょう。

 文化人類学についてもっとよく知りたい人は、『ようこそ文化人類学へ』という本を読んでみて下さい。高校生の皆さんにも楽しく読んでもらえるように書いた入門書です。

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