2017年7月30日日曜日

【講義紹介】基礎ゼミ「自己観察」

 「自分って何だろう?」「本当の自分はどこにあるのだろう?」と考えたことはないだろうか。またこの問いに対し、納得のいく答えを持っているだろうか。これは多くの高校生や大学生、それだけでなく大人も答えられない問いかもしれない。ここで紹介する基礎ゼミ「自己観察」は、自分自身を「MBTI」と「瞑想」の二つの観点からより深い目で観察し捉え直すことを目的とした授業である。




 本授業を担当するのは本学教育情報学研究科の中島平准教授だ。自身がこれまで学んできたことの中で最も感銘を受けたものが「MBTI」と「瞑想」。これらを学生にも身につけてもらうべくこの授業を始めたという。

 MBTIとは、心理学的見地から人の心の性質を16種類のタイプに分類することによる、自己理解のための指針だ。「MBTIでは心のエネルギーの充足・消耗を観察する」と中島准教授。簡単なペーパーテストの後、有資格者との問答を繰り返す。この過程で受験者は自分の内面を様々な角度から見つめ、「心のエネルギー」が得られる、または失う行動パターンから自分のタイプを推定する。

 しかし、ここでいうタイプは、「性格」のタイプでもなければ好き嫌いや得意なこと不得意なことを示しているわけではない。不得意でも「心のエネルギー」が得られるような活動はあるし、その逆もある。中島准教授は「タイプはあくまでタイプであり、スキルではない。性格も習慣により形成されるもので、タイプはより根源的だ」とした上で、MBTIを知ることで全く新しい切り口で自他の内面を覗くことができることの有用性を説いた。

 この授業ではMBTIの学習と並行しながら瞑想も行う。瞑想にもいくつか種類があるが、本授業では「集中の瞑想」を中心に行う。正しい姿勢でリラックスしながら座り、何か一つのことに意識を集中し、その他は何も考えないようにする。瞑想の最中、心に湧き出てくる様々な思考から集中へと意識を戻すことを繰り返す、というある種の訓練を続ける。中島准教授は「この集中の瞑想を続けることにより、確固たる意志力が身につく」と話す。意志力はつまり集中力であり、まず普段の生活に役に立つという利点がある。そしてなにより、いつも心の中に巡っている複雑な思考を取り払い、心が静かになって初めて、今まで見えてはいなかった本当の心の在りようがあらわになる。本授業はこの二つを理解・実践しながら自己理解に結び付けていく。

 「多くの学生は『自分を知る』経験をしていない。この授業を通して、それをすることのすごさを知ってもらいたい」と中島准教授は話した。学びの広さは、まさにこの言葉に表されているだろう。本学には他にも魅力的な授業がたくさんある。自分でしっかりと選び、広い学びをしてほしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿